2012年12月7日金曜日

"探求〟野球道を考える 第5回-2

私が実践する指導の4本柱   桑田真澄氏

今、コーチにも問われるセルフコントロール能力

第二のポイントは試合で活きる練習、試合に勝つ確率が高まる練習の実践です。たとえば守備練習をしていて「正面で捕れ」「両手で捕れ」と指導しているコーチが未だに多いと感じます。その根底には練習の目的の一つに「精神の鍛練」があり、身体の横でゴロを捕ったり片手でフライを捕ったりするのは横着あるいはスタンドプレーという発想があるのだと思います。

 しかしながら、ここで守備の目的という根本的な問題に立ち返ってみましょう。野球というスポーツで、守備の目的は「アウトの捕ること」にあります。しかも試合では横のゴロをさばいたり、走りながらフライを片手でキャッチしてすぐに返球しなければならないケースもあります。つまり、試合に備えるために練習するという発想に立つと、普段からバックハンドや片手捕りの練習もしておくことでこそ、次の試合で勝利する確率が高まるのです。




 僕がメジャーの春季キャンプに参加した際、早出の守備練習ではコーチが手で転がしたゴロの対して、若手選手からレギュラー選手までがバックハンドで捕って素早く送球動作に移る練習をしていました。

 もちろんアマチュア選手の場合、練習当初は動作がぎこちないためエラーが続く恐れもあるでしょう。しかし、この練習を繰り返すことでハンドリングや足の運びのリズムが良くなって、実は一番難しい正面のゴロよりも上手にあわせることができるようになるのです。

 合理的、効率的に選手の競技力を高めて試合に勝つためには過度な精神性の追求は控える。そして試合で起きうるプレーを客観的に分析したうえで、そのプレーを繰り返し練習することが近道だと言えるでしょう。

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