今、コーチにも問われるセルフコントロール能力
第三のポイントは失敗することを認めたうえで、チャレンジ精神を奨励する雰囲気作りです。アマチュア野球の現場でよく目にするのは「積極的にプレーしろ」と言いつつ、失敗すると「何をしているんだ!」と罵声を浴びせるコーチの姿です。こうしたジレンマに立たせるほど、若い選手は思考停止に陥ります。少し頭のいい選手だったらコーチの指示を聞いているフリをして、内心は大人をバカにする習慣が身に付くでしょう。僕もアマチュア時代から長年こうした指導を受け続けてきましたが、プロで23年間プレーした経験から導き出されたのは、「野球とは失敗するスポーツである」という教訓です。僕は投手として173勝することができましたが、その裏にはたくさんの敗戦がありました。本塁打をたくさん打つ選手は、三振もたくさんしています。野球選手だったらエラーしたことがない選手、三振したことのない選手はいません。そして「もう三振したくない」「同じようなエラーをしたくない」と思っていても、次にまた同じ失敗を繰り返すのが野球というスポーツなのです。
もちろん僕のチームでもシートノックの最後は、全員ノーエラーで選手にプレッシャーをかけます。でも選手を育てるうえで大切なのはメリハリです。エラーしてもよいから「ここだけ気をつける」という練習をする。「三振してもよいから思い切り振ってこい」と送り出す。野球は失敗するスポーツである以上、失敗をしても起き上がる大切さを教えることがよいコーチの条件だと思います。
田中賢介 沖縄春季キャンプ
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