2012年12月12日水曜日

"探求〟野球道を考える 第5回-4

私が実践する指導の4本柱   桑田真澄氏

今、コーチにも問われるセルフコントロール能力

最後のポイントは忍耐力です。

 野球選手が成長するのは、やらされる練習ではなく、自ら主体的に練習している時です。コーチにはチームがそうした雰囲気になるように促してほしいのですが、そこでさらに大事なのは練習を止める勇気です。なぜなら彼らのこころと身体は成長期にあるからです。みなさん御存じだと思いますが、練習中は筋肉が破壊されます。そのうえで超回復を促して競技力を高めるためには、タイミングのよい食事と十分な休息が不可欠なのです。

 こうした考え方は、わかっていてもなかなか実践できないでしょう。大事な試合が近づくほど、選手のことがかわいいほどコーチも熱くなる気持ちはよくわかります。実はそういう気持ちになることは、僕自身にもあります。でも日本の野球界の将来を支える若い選手を育てるため、コーチのみなさんには強い忍耐力でぐっとこらえてほしいと思います。

 4つのポイントからおわかりの通り、自分をコントロールする能力は選手のみならずコーチのみなさんにも問われるのです。試合の状況を読む分析力と相手を先読みする洞察力をもとにして戦略を立て、そして実行する。試合の後で振り返って、次のゲームに活かす。

 勝負所では根性と気合も大事だが、それだけでは上手くならないし、試合に勝つことはできません。コーチも選手もこうした好循環を回すことができたらチームは強くなるし、若い選手が社会に出た時にあらゆる状況で活躍できる人材が育ちます。つまり、コーチのみなさんが意識改革を実践して新たな指導方法を確立することこそ、いまアマチュア野球界が求められている人材育成の第一歩なのです。

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