2012年7月5日木曜日

体のケア

今回は選手のヒジや肩のことについて書きたいと思います。

無知と無理が重なったばかりに、将来性豊かなタレントが小中学生で野球人生を終えないために…

1 投球数について
 ボールを投げる動作を繰り返すことによって、筋力が低下していきます。そして筋力が低下する と、ボールのスピードが遅くなってきます。

 
 実際の試合では自分たちのチームが攻撃する時間があるので、そこで一定の休息を取ることによって、筋力が回復し、遅くなったスピードも最初のレベルに戻っていきます。ところが、投球数が増えることによって、一定の休息を取ってもスピードが元に戻らなくなります。

 その状態のままさらに投げ続け、なおかつ投球後の十分なケアを怠ってしまうと、肩やヒジの炎症が治まらず、大きな障害につながってしまいます。

 つまり、筋力が回復するラインを見極めて、投球数を設定する必要があるということです。まして、小・中学生は「成長期」の段階にあるので、大人と比べて肩やヒジはまだまだもろい状態にあるということ。したがって、スピードが元に戻らなくなってしなう投球数をより強く意識する必要があります。

2 では何球ぐらい?
 同じ中学1年生であっても、骨の成長度には個人差があるので「中学1年生は〇〇球までOK」と言い切ることはできません。しかし、さまざまな実験によって、筋力が低下する平均的な球数はすでに明らかになっています。

 まだ大人の骨に成長していない小・中学生の場合、40球がひとつの目安になります。1イニング15球平均として3回の途中、10球平均でテンポよく投げられたとしても4回が終わるころにはスピードが元に戻らなくなってしまいます。

 しかし、現実の試合ではそのチームのエースが40球や50球でマウンドを降りるケースというのは、ノックアウトでもされない限り、ほとんどありません。

 全国大会でも7回完投して100球前後投げるピッチャーというのは何ら珍しくありません。
仮に40球や50球で交代させたいと思っても、リリーフを安心して任せられるだけの控えメンバーが存在しないチームも多いでしょう。また、大きな大会になればなるほど、エースにすべてを託して投げてもらうケースも多いと思います。したがって、40~50球でのピッチャー交代が「理想論」にすぎないことも十分に承知していますが、そこに筋力低下のラインがあることは指導者の方もしっかり認識していかなければならない。

 小学4年生チームでも地区大会上位クラスになってくると、試合で100球以上投げることも珍しくないようですが、さすがに投げすぎだと思います。

 一週間単位の球数としては中学生の場合、300球がひとつの目安なっています。ただし、同じ300球でも100球を3日連続で投げて4日休むのと、50球を3日連続で投げたあと、1日の休みをはさんでまた50球を3日投げるのとでは、体にかかる負担は異なります。もちろん100球を3日続けて投げるほうが肩やヒジへのダメージは大きくなります。

3 投球フォーム
 筋力低下の目安は40球ですが、そこには個人差があります。したがって、40球に到達する前に注意信号を発する子供たちも少なくありません。

 こういう子供たちに対しては、特に指導者の「目」が重要になってきます。投球フォームの変化によって、筋力の低下を見極める必要が出てきます。

 具体的には、ステップして踏み込んだ前足のヒザの角度が浅くなり、「棒立ち」になったり、もしくはヒザが下がってくることとヒジの高さが肩よりも低くなってくる。これらの現象が投球フォームに見られたら、筋力が低下してきているので注意して見守って下さい。


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